歯科衛生士の活躍が歯科医院を明るくする – 中山吉成先生

歯科衛生士の本来の役割

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平均的な日本の歯科医院は、診療補助としての役割を歯科衛生士に与えてきた傾向があります。最近では山形県酒田市で開業する熊谷崇先生たちの活動の成果から、日本でもようやく予防処置が歯科衛生士の主たる仕事になってきました。

しかし以前から欧米では、予防を重要視した歯科診療が本来の医療の在り方でした。そのため歯科衛生士には、歯科医師と共に臨床を行うことが、社会的役割として与えられています。当然その責任と義務も重く、それに応じた教育と免許制度の下に歯科衛生士は存在します。歯科大学と歯科衛生士学校の教育も、そういった歯科衛生士の社会的責任と価値に相応する内容になっています。アメリカでも歯科衛生士業務は、歯科助手の役割と一部同じところがあります。しかし日本の歯科衛生士との大きな違いは、アメリカの歯科衛生士は歯科の治療行為が歯科医の監督の下で出来る点です。アメリカ社会では州により多少歯科衛生士の医療行為の定義が異なりますが、歯科衛生士の存在がなければ歯科医療を円滑に行うことは困難です。人口密度、歯科医院の分布状況にもよりますが、開業後、徐々に患者数が増えれば診療所の設備とスタッフ数も増えていきます。このように流行ってくる歯科医院になればなるほど、診療の質的管理が益々重要になり、歯科衛生士の役割の重要性も責任も増していくのが、アメリカの歯科医院の傾向です。

歯科衛生士のキャリアアップが医院経営を支える

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若い時期に歯科衛生士となり社会デビューして、結婚し家庭を持ち勤務する歯科衛生士もいれば、子育てが終わって職場復帰する歯科衛生士も沢山います。この点が平均的な日本の歯科衛生士と大きく違う点ではないでしょうか。私が訪問する日本の歯科医院は、比較的多くの歯科衛生士が在籍する医院が多く、経営的にも順調な様子です。私は経営の専門家ではありませんが、感覚的に歯科衛生士の長期雇用が上手くいっている医院は、経営も上手くいっている傾向を感じています。こういった傾向がアメリカでは更に顕著で、60歳過ぎても歯科衛生士として最前線で活躍している方が沢山いて、その社会的貢献度は大きく、患者さん達からも尊敬されています。その結果、そういった歯科衛生士を雇用している歯科医院は、地域社会から評価され、経営的にも順調な医院ばかりです。この歯科衛生士サイトGungunにエントリーしている歯科医院が、キャリアアップする歯科衛生士の基盤となってくれることを期待しています。また復職を希望する歯科衛生士も、Gungunで紹介されている歯科医院は医院理念や概要が明確なので、ぜひ活用されてはと思います。

歯科衛生士育成が歯科医療の向上に繋がる

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歯科医師にも多少の個人差、臨床の考え方に違いはありますが、歯科衛生士を大切にしない歯科医院は余り流行りません。このことはアメリカでも日本でも当てはまることです。歯科衛生士が長く在籍しないということは、患者さんも長期的に通院しない可能性が高くなります。その結果、経営は苦しくなり、患者さん、歯科衛生士も含めた他のスタッフも、その医院に長く通院しない、長く勤務しないという悪循環が発生します。日本の健康保険制度の疾病に偏った点数配分により、日本の歯科医療現場では、理想的な予防主体の診療を患者さんに十分に提供できないことに苦しんでいます。しかし、そうした現状に立ち向かい、問題解決に正面から対峙している予防を主体とする歯科医院も増えてきています。そのような歯科医院を探して就職すれば、歯科衛生士として生涯本来の職務を遂行することが可能になってきています。

歯科衛生士を育てる力と環境のある医院が増えることなくして、日本の歯科医療の質は向上しないと思います。そういった視点からも、Gungunにエントリーしている医院には大きな期待をしています。また、歯周病専門医としてGungunにエントリーしている歯科衛生士にエールをおくります。

中山吉成先生 プロフィール

(診療所)ワシントン州フェデラルウェー市
c/o Makoto Sugiuchi, DDS
33720 9th Avenue South, Suite #1
Federal Way, WA 98003
USA

TEL: 253-874-2156
FAX: 253-874-2175
nakayama@nventure.com

略  歴
昭和50年 3月 九州歯科大学卒業
昭和50年 4月 福岡県大牟田市、中山歯科医院勤務

昭和51年 1月 タフツ大学(ボストン市)歯周病学講座大学院入学
昭和52年11月 同上 卒業、歯周病専門医資格取得

昭和52年12月 ボストン大学歯周病学講座勤務

昭和53年 4月 アメリカ歯科医師会国家試験合格(National Board Dental Examinations, Part I & II)

昭和53年 9月 帰国、中山歯科医院勤務
九州にてペリオセミナー開催

昭和54年 6月 ワシントン州開業一次試験合格(State Board Dental Examinations)

昭和55年 6月 ワシントン州移住
ワシントン州開業二次試験合格、免許取得

昭和55年10月 フェデラルウェー市にて歯周病専門医として開業

平成18年 9月 診療所移転

平成20年 8月 診療所移転
日本人歯科医師、杉内誠先生の診療所で歯周病専門でパート勤務
2006年より『実践歯周病セミナー』、2010年より『歯周外科およびインプラントオペ実践セミナー』を開催。また海外研修をはじめとしたセミナーで、多くの歯科医師、歯科衛生士を指導している。